四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~

守りたいのに

それからというもの、私の周りの雰囲気は、ぎくしゃくしたものになってしまった。

一部始終を見ていたクラスメイトは、私と夏目と篠原さんの間にある、何かに感付いてしまった。
直接聞いてくる人だっている。

でも私は無言を貫いた。

そんな態度がさらに疑惑を呼んだのか、いつか私の周りには、悪いうわさが飛び交うようになった。


でも別に大丈夫だ。
私はこのくらいのこと、大丈夫だ。

自分に言い聞かせる。


放っておいてよ。


分かっている。
私は悪魔だと。

今更始まったことではないのだ。
ずっと前から、生まれた時から、私には悪魔の血が流れていたのだ。


そんな中、努めていつもどうりに接してくるのが智だった。
いろんな噂を聞いていないわけじゃないのに。
でも私のことを信じてくれる。

何事もなかったかのように、笑顔で接してくれる。


「おはよっ!詩織!」

「……おはよ。」


そんな智に、私は罪悪感を抱いていて。

おはよう、そう言おうとすると、喉の奥がひりひりして何も言えなくなるんだ。


「詩織、今日の生物の宿題のノート貸して!お願いっ!」

「いいよ。」


ノートを渡す。

ノートなんて、何百回でも貸すよ。
智にだったら喜んで貸す。
わざと間違えたりなんて、卑怯なことはもう絶対しないから。


だから……、許してほしい。


それから、分かってほしい。


私が本気で、夏目を好きだという気持ちを。


知っている。智は笑って見せながら、目は笑っていない。
智も苦しいんだ。
友達を心から信じることができなくて。


ごめんね。


なんども言おうとして、言えなかった。

言わなければ何も伝わらないんだと、分かっていたくせに。

私は、周りの人や自分自身を欺くことによってしか、生きていけない生き物のくせに―――
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