鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
「空域を…離脱…?」

谷口や小暮に助けられ、肩を借りていた三浦が呼吸を乱しながら言う。

「ああ」

谷口が頷いた。

「司令部の決定で、モスクワに蔓延するラストバタリオンを殲滅する為、空爆を行う事になった。地上部隊でのモスクワ奪還は無理と判断したらしい」

「クラスター爆弾による爆撃を行うそうだ、相手は人間じゃなくてゾンビだからな」

小暮が顔を顰める。

クラスター爆弾とは、容器となる大型の弾体の中に複数の子弾を搭載した爆弾である。

通常の空対地爆弾とほぼ同サイズのケースの中に、小型爆弾や地雷で構成される数個から数百個の子弾を内蔵する。

このケースが発射、投下の後に空中で破裂する事で子弾を散布し、多数の小規模な爆発を引き起こすなどして広範囲の目標に損害を与える。

地上部隊に対して短時間で面的制圧を行える為、国境線が長かったり、障壁となる地形が乏しいなどの事情を持つ地域では、対人地雷と同様に戦術上有効とされる。

しかしあまりに非人道的な兵器である為、対人地雷同様クラスター弾の使用や保有、製造を全面的に禁止する条約…クラスター爆弾禁止条約或いはオスロ条約とも呼ばれる…によって、『対人使用』は禁止されている。

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