鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
「まさか」

李は無表情のまま言う。

「助けてくれ…などとは言わないだろうな」

「……っ」

歯噛みする谷口。

「祖国を捨てて、よりにもよって日本などに亡命したお前を、俺が助けると思うか?」

冷徹に告げる李。

彼の頭にあるのは、任務を遂行する事のみ。

その為の障害となるものならば、躊躇も逡巡もなく排除する。

それが例え親兄弟だろうと、かつての親友だろうと。

己の肉体がどれだけ損傷しようとも任務を果たす。

人民軍の兵士は、そういう風に教え込まれていた。

< 42 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop