鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
振り返りながら走り撃ちする李。

右に左に蛇行しながら、谷口はその射線を避ける。

走り撃ちのせいで命中精度は高くない。

何とか回避も可能だった。

だがそれは谷口も同じ事。

撃っては弾倉を装填、撃っては弾倉を装填を繰り返す。

互いに悪戯に弾薬を消費するだけ。

それでも原発までの距離は縮まっていく。

もう原発が目視できるまでの距離になっていた。

「!」

58式小銃の弾薬が切れた。

もう予備の弾倉もないのだろうか。

李は58式小銃を捨て、サイドアームの9ミリ白頭山拳銃を抜く。

チェコスロバキア製の自動拳銃、Cz75の人民軍版だ。

発砲してくる李に対抗しようとするものの。

「!」

谷口の89式小銃もまた、弾切れだった。

弾薬ポーチを探るものの、こちらももう予備弾薬はなかった。

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