鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
豊田は何も語らない。

谷口も何も語らない。

敵とはいえ、かつての親友を殺した。

戦争とはいえ、人を殺した。

そんな相手に、何を声がかけられるのか。

今は無言のまま、傍らに寄り添う事しかできない。

他の仲間達も同様だ。

戦争の中では、人殺しが罪には問われない。

合法的に殺人を犯せる。

それが戦争という狂った行為だ。

人殺しが罪ではなく、勲章の対象として持て囃される。

狂気以外の何物でもない。

自分達は狂気の中にいる。

小川達は改めて実感していた。

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