歌姫桜華

 私はというと、窓から外の景色を眺めていた。



 空が青い。



 当たり前のことなのに、なぜか感動した。


 私、外にいるんだ。今は学校にいるんだ。



 久し振りのことすぎて、涙が浮かぶ。



 MIRIAを引退するってことも、電話で伝えただけだし。


 外に出るのは、ホント久し振り。




「なー、聞いた!?MIRIA引退だってー。俺、めっちゃショックぅ」


 廊下側から聞こえた。


 MIRIA、という単語にドキリと胸が跳ねる。


 さっきの遅刻組…?



「お前、好きだったもんな。MIRIA」

「可愛いし歌もいいし。……でも、なんで仮面してたんだ?素顔見たかった~」




 MIRIAは、仮面をしながら歌って。


 顔を見られたら、桜華だって…私だってバレちゃうから。




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