歌姫桜華
帰り道。
大通りに出ると、
横を通りすぎる女が、
「あれ、甲羅の奏多さんじゃない!?」
「隣にいる女子誰!!??」
「やばーい。イケメンッ♡」
「きゃー!!!」
化粧が濃い女。
香水臭い女。
さっきからそんな女ばっかり。
慣れてるのか、奏多はそんな女を無視して歩き続ける。
私の手を握りながら。
時々、少し後ろにいる私をチラ見する。
心配してくれてるのかな?
迷子にならないか、はぐれないか。
だったら、嬉しいな。