キミさえいれば
真実
真っ白い道着に袖を通す。


こんな時にでも、俺は合気道の練習に来ていた。


自分の精神を徹底的に鍛え直すために。


俺は最低だ。


この世でたった一人の愛する人を、傷つけてしまった。


どう足掻いても生まれてはいけない命を、愛する人のお腹に宿してしまった。


凛にこんなつらいをさせてしまうなんて、身が引き裂かれそうだ。


それでも。


愛さなければ良かったなんて、絶対に思いたくない。


思いというものは、自然に湧き上がってくるものだ。


それを無理矢理止めることなんて出来ない。


だけど、気をつけることは出来たはずだ。


あの日……。


ハヤトに抱かれていた凛を見て、俺は気が狂いそうだった。


絶対に誰にも触れさせたくなかったのに。


だからあの日の夜は、もう無我夢中だった。


凛が愛しくて。


俺だけのものでいてほしくて。


激しく求めてしまった。


それがまさか、こんな結果になってしまうなんて。


ごめん、凛。


本当にごめん。


今日、凛は学校を休んだ。


しんどいなら休むように凛には話していた。


今もゆっくり休んでいるだろうか。

 
練習の帰りに、会いに行こう。


そうしよう……。
 
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