キミさえいれば
「白石。それ、本当?」


ちょっと強引なところも。


絶対的な強さも。


私を守ってくれるところも。


私だけに見せてくれる優しさも。


眼鏡の奥の美しい瞳も。


「兄に似てるからじゃないです。

恋愛感情で……先輩が好きです」


この気持ちは、絶対に恋だ……!


気持ちを伝えた途端、先輩がぎゅっと私を抱きしめた。


「やったーーーー!」


急に叫ぶ先輩。


周りにいる何組かのカップルが、なんだろうと不思議そうにこちらを見ている。


「すごく嬉しいんだけど。

もう、すごい緊張した!

こんな緊張、合気道の大会でもしないくらい」


先輩の大きな声に私もちょっと驚いたけど、こんなに喜んでくれる先輩の気持ちがすごく嬉しい。


「これからもずっと守るよ。

生徒会長としてじゃなく、兄貴の代わりでもなく。

白石の彼氏として」


「先輩……」


先輩の言葉に、涙が滲んで来る。


「もうつらい思いなんかさせない。

変な噂からも、変な男からも、俺が全力で守るから。

だから、安心して」


すごい……。

 
先輩がそう言ってくれると、本当に大丈夫だと思える……。


「好きだ、凛……」


11月の終わりに行われた文化祭。


その日は私にとって、思い出深い忘れられない一日となった。
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