アメ、ときどきチョコレート
「なんだよ、わざわざ屋上なんかに呼び出して…」



「ね、メアド教えて」



「……そんなこと聞くためにわざわざ呼び出すもんか?」




「そんなのついでの話。もっと重要なこと聞くために呼び出したの」




「何についてだよ」




「ねー、わたしと坂本、どっちが上なの?やっぱりここはわたしだよねえ」




「………」



 坂本はしばらくわたしを見た後、やっと口を開いた。



「………お前、そんなこと聞くために俺を呼び出したのか?」



「うん、そうだけど。ね、ところでどっち?」



「………知らん」



 あれ、知らないの?坂本なら知ってると思ったのに。



「ざーんねん!」



 わたしは本気で残念がりながら、あることをふっと思いついた。



「ねえ、わたし、坂本のこと、和哉って呼んでいい?」



 和哉はそっぽを向くと、「美和」とわたしのことを初めて名前で呼んだ。





「かーずやっ!」



 わたしは和哉にぎゅっと抱きついた。
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