アメ、ときどきチョコレート
 授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。それに続き、わたしに近づく足音。


 ……これは奴の足音に違いない。



 わたしはすっと身をかがめ、みんなの間をするすると抜ける。幸いなことにわたしは背が小さい方なので、こういうことはやりやすいのである。


 そして、教室のドアを開けると、一気にダッシュ!そして、美術準備室に隠れる。



 トン、トン、トン……



 軽いリズムを刻むような足音がすぐ近くでする。そして、カチャ、という音もした。



「……探したぞ」



 坂本の声がした。わたしは胸像を抱え、叫んだ。



「あんた、昨日から一体何者よ!」



「……なんでもいいからさっさとその胸像を放せ」



 彼の目からかすかな殺気を感じた。わたしは胸像を下ろす。



「警戒はしなくていい。俺は、さっきも言ったがお前を探していた」



「……なんでよ」



「お前が俺の双子の片割れだからだ」



「……」



 今、この坂本という男はなんと言った?[お前が俺の双子の片割れ]だって?



「双子の片割れ?」












 





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