ナムストーンPART3
タイトル未編集

光る石1

キーツはユーロトンネルを抜けて
ロンドンに向かっていた。

大英博物館には世界の芸術品や
歴史的な遺物など人類の貴重な遺産が
数多く収集保存されている。

植民地時代に強奪されたものがすこぶる多いが
これらの国が独立後には本来返却されるべき物なのに
英国政府はかたくなに返却を拒否し続けている。

世界の遺産はそれにふさわしい国家のもとで
厳重堅固にかつ安全に保持されるべきものだと
自負しているのだ。

その中のアフリカコーナーにその石は在った。
光る石(SHINNING STONE)と書かれてガラスケース
の中に厳重に安置されていた。

「1940年にアフリカのマラウイ湖付近で発見され
探検隊が持ち帰った」と添え書きがしてある。

普通の半透明な黒ずんだただの石だ。
添え書きにはさらに「はじめは青く不気味に輝いていた、
放射性物質ではありません」とあるだけだ。

キーツは係員に尋ねた。


「何かこの石に関する記録はありませんか?」
「この館には添え書き以上の記録はありませんが
国立図書館に当時の探検隊の公式記録が
永久保存されているはずですが」

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