甘く寄り添って
私はいつものように先生のご自宅へスクーターを飛ばした。

「おはようございます。」

「悠ちゃん、お帰りなさい。お役目ご苦労さまでした、ありがとう。」

私はドレスのお礼を言いながら包みを渡した。

「私に?何かしら?」先生は嬉しそうにスカーフを広げた。

「なんて素敵な色かしら!ありがとう、悠ちゃん。デスクにじっとしていると首の辺りが寒いの、嬉しいわ。早速使わせてもらうわね。」

私は先生の喜んだ顔を見て少し安心できた。

今はまだこの時、私が薫先生と時下さんの間で

板ばさみになろうとは思いもよらなかったのだから。

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