プロテクト・ストーリー?



―♪―♪―♪―



「「……っ……!」」



不意にケータイがなった…。
二人とも、ケータイに異常な程、
反応したけど………、



―クイ。



俺は、ケータイを無視し、
海の顎を上げ、再びキスをした。



…このまま、触れるだけのキスから、
深く唾液が溢れるくらいのキスに変え、
そのまま、衣服を脱がせ、
全身を好きなだけ愛撫して、
奥深く、深く、甘く―…したい…。



―そんな、順番も気持ちも
全部ぶっ飛ばしてしまいそうになった
そんな瞬間。



「ケータイッ!!」



俺の胸を若干押して、
キスの合間に海が叫んだ。



「いいよ、そんなの。」



そう言って、もう一度、
キスをしようと顔を近付けると、



「呼び出しだったら、どーするの!?」



「………。」



―その可能性は、十分にある。
最近は、病院が落ち着いていたから
夜中に病院に
向かうこともなかったけれど、
患者が急変すれば、行かなきゃいけない。



「死にかけた人が蒼を
待ってるかもしれないんだよ!?
早く、電話に出て!」



今にも泣きそうになりながらの海に言われて
渋々、電話を取った。



―ぎゅ。



「っ?」



「もしもし。」



電話に出ながら、海の手を掴んだ。
それから、しっかりと握り直す。
そうじゃないと、海が逃げてしまう
気が、なんとなく、したから…。
なんとなく、ね………。



―――でも、



『逃げないで、ね?』



口パクでそう伝えると、
恥ずかしそうに頷いて、
逃げる―なんてことはないなと、安堵した。



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