そばにいたこと

決勝

二回戦、三回戦と、僕たちの野球部は順調に勝ち上がった。
予選が始まる前に感じていたようなプレッシャーはもうない。
その代り、僕は守りに入っていたのだと思う。

この流れを止めてしまわないように。


決勝の日は、良く晴れていた。
今思い出しても、心が震えるような。
恐ろしいくらいの青空だった。


「一番、ピッチャー、春岡」


僕は真っ白なユニフォームで、マウンドに駆けていった。
ここからだと思っていたんだ。
僕の青春は、ここから始まると。
信じて疑わなかった。

夢を見ていたのかもしれない。

僕がその先、ずっとずっと活躍していけるなんて、そんなこと。
保証はどこにもなかったのに。



あの日も、いつもと同じように、マウンドで目を閉じたね。

でも、なぜか。

いつもみたいにすべてがフェードアウトしてくれなかった。

僕の心の中には、ひとつの予感のようなものがあって。


抽象的な何かが、僕の心を締め付けていた。

今思えば、あの時。

マウンドを降りていたら。


そんなこと、思っても仕方がないことは、僕自身が一番よく知っていたのだけれど――
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