そばにいたこと
第4章 破滅の方へ

誘拐

でも僕はそれから、君に会うことは許されなかったんだ。

君の両親も、担当医も、誰も僕を病室へは入れてくれなかった。

それが何を意味していたのか、今の僕なら分かる。

でも、その頃の僕には分からなかった。




ただ、君のことを想って。




毎日病院に通って。




また、奇跡は起こるって、そればっかり思っていた。




だけどある日、君の父親が僕のところに来て言った。




「引っ越して、転院するよ。」




と。




それは、今思うと、僕と彼女を引き離すためだったのではないかと思う。

いや、きっと、絶対に。


彼女の両親のその判断は、正しかったのだろう。


結果的には、間違っていたとしても。






彼女が転院する日。





僕は彼女をさらった。





取り返しのつかない罪と、永遠に背負う悲しみを、この手に抱くために―――――
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