彼が虚勢をはる理由





「そんな事言わないの~、ハル。あの転校生だって、何処か良いところ、あるかもしれないよ?」


舞子がハルをなだめるように言うけど、ハルはそんな舞子を哀れそうな目で見た。


「舞子は良い子だなぁ~。そのうち誰かに騙されちゃいそう、気を付けるんだよ」


舞子の頭を、良い子良い子、と撫でるハル。
さすがに言いすぎだと思ったけど、今回は否定出来なかった。

何であんなに、態度悪いというか、無愛想なんだろう?
あんなんじゃ、本当に友達なんて一人もできないし。

あんなにイケメンなんだから、普通に挨拶とかしてそそこそこ会話してれば、幾らでも友達は増えると思うんだけどなぁ。

あんなにガラが悪いんじゃ、平和なウチの学校でもイジメられそうだし。
それでこっちまで巻き込まれたら、本当に良い迷惑なんだけど。


私はその時、転校生がどんな人か気になるのが30%、転校生がイジメられる事への心配が35%、イジメが起きて巻き込まれる事を迷惑に思う気持ちが35%くらいな割合だった。

しかし、その時は全く想像もしてなかった秘密が、夏野君にはあった。
…いや、秘密っていうより、問題っていう方が近いかも。





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