彼が虚勢をはる理由





……そんなに可愛くて似合ってるなら、夏野君と一緒の時に着たかったなぁ。
そんな小さな文句と、久しぶりすぎて慣れない夏祭りへの不安を抱えたまま、私は紅実ちゃんに連れられて、祭の会場へと急ぐ。


「着いたよ、香苗」


そんな紅実ちゃんの声に顔を上げると、神社の鳥居には、知る人ぞ知る恋愛に効果がある神社の名前が刻まれていた。


「あ……」

「香苗も知ってる? 此処の神社の評判」

「知ってる。縁結びの神社だよね」


それは、何年も前に放送された、紀行モノの番組での話。
男性が三人、女性が三人で回っていたその番組でこの神社が取り上げられ、そのうちの二人が見事カップルとなり、ラブラブな状態で結婚式を挙げた。
それ以来、此処の神社は、"恋愛に御利益がある神社"として知名度が上がったのだ。
――ちなみにその夫婦は、今でも芸能界きってのオシドリ夫婦として知られている。


「此処の神社でやってたんだね~」

「前にも一緒に来た事があったけど、覚えてる?」

「祭に来た事は覚えてるんだけど、此処でやってるのは覚えてなかった」


紅実ちゃんの話によると、この神社の参拝客は紀行番組以来増えて、また夏祭りも特別な盛り上がりを見せるようになったらしい。





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