彼が虚勢をはる理由





「あ、バレた? 最近、刑事物のドラマが面白くて。従兄弟に交番勤務の巡査もいるし」

「へぇ…、そうだったんだ。知らなかったよ」

「初めて言ったもん」


ハルが派手な見た目のわりに意外と真面目なのは、従兄弟の仕事とかも関係あるのかもしれないな。
従兄弟とかの近い立場にそういう人がいたら、環境とかの影響は受けるだろうし。
……しかし、眠い…。次の授業、何だっけ……?


「取り敢えず、今回のは色々引き摺りそうだけど、私はまたテニス頑張るよ。補欠だけど、秋の大会も近いし」

「そうだね、舞子。大会前にラケットが戻ってきて良かったね」


ハルと舞子の言うとおり、大会前に一件落着して良かった。だけど私には、もはや二人の会話がBGMにしか聞こえなかった。
ライティングの勉強の為に寝不足と、舞子のラケットが戻ってきた事の安堵による気抜けに、私は抵抗する事は出来なかった。


「香苗ー、次の授業は古典だよー。寝ちゃっても良いの?」

「香苗、寝るなら自分の席で寝てね」

「……分かった」


私は何とか自分の席に戻り、机に倒れるように突っ伏した。
古典の先生が来た事にも、授業開始のチャイムにも、気付く事は無かった。





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