嘘つき、でも騙されてあげる
そして私たちは秀輝のマンションに向かった。



秀輝には夕方行く事を伝えてある。



たけど卓斗も一緒に行く事は言ってない。



少し心配。



卓斗は大丈夫だからと私の肩を抱く。



秀輝がマンションのドアを開けてくれた。



卓斗と二人だった事に驚いたようだったが、



中に入れてくれた。



私たちは二人でソフィアに座った。



緊張して思うように話せない。



秀輝が口を開いた。



「卓斗と二人で来たと言う事は、僕にとって良い返事でないようだね。」



秀輝が私にこっちへおいでと手招きをする。



「悪いが卓斗はそこで待っていてくれないか?


夢花と二人で話したい。


僕たちはこの五年間夫婦同様の生活をして来た訳で、

君も大人なら分かると思うが、


そんな簡単に、別れられないんだよ。


夢花来なさい。」



強引に手を捕まれる。



卓斗が、『駄目だ夢花行くな。彼は君を離さないつもりだ。


野中さんこの五年間と言ったが、夢花がここで生活してたのは三年で、


それも野中さんは夢花を逃がさないようにしていた。違いますか?』





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