Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
いきなり病室に飛び込んできた私を見た坂下は、目を丸くした。



そして、盛大にため息をついた。



「蒼先生に言伝をお願いしてあったのですが、聞いていなかったのですか?」



「聞いたよ。」



「それでしたら、何故ここに来たのですか?」



「だから、来たんじゃない!

人づてにあんなこと言われたって、言うこと聞けない。

それに…私は、好きな人とは会いたいから、尚更聞けない。」



坂下はもう1回ため息をついてから、言った。



「アンジェリーナ、帰っていただけませんか?」



私は、首を横に振った。



「では、私が出て行きます。」



坂下がホントに出て行きそうだったので、腕を掴んで引き止めた。



「私は、先生の側にいたい。

先生は、そうじゃないの?」



坂下が一瞬、はっとした表情をした。



「アンジェ、あなたのためです。

そう…言ったところで、あなたは聞かないでしょうね。

ならば、言い方を変えましょうか?」



「言い…方?」



「私のために、ここへはもう来ないでください。」



坂下の…ために?



そう言われてしまうと、言い返す言葉なんて見つかるわけもなく…。



私は掴んでいた腕を離した。



病院のエントランスに出たとき、コートをケーキ屋に置いてきたことに気がついた。



「寒…っ。」



寒さに身を縮めたとき、私の顔面めがけてコートが投げつけられた。



「蒼…。」



「ホント、諦めの悪い奴だな…。」








 
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