Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
「場所を…少しだけ、移動しませんか?」



唇をなぞっていた指を離して、坂下が指したのは古いバラック。



「あの、汚い小屋?」



「正確に言うと、あの陰…です。」



「どうして?」



私が聞くと、坂下は黙ったまま、私の唇を指でなぞる。



あ、もしかして…。



「キス、したくなった?」



坂下は頷くと



「この場所ではちょっと…。」



そう言って、離れた場所にいるカップルの方に視線を送る。



「気にすることないよ、向こうだって2人の世界に入ってるんだから。」



それでも坂下は、まだ迷ってるみたいで…。



私は、相変わらず唇をなぞってる坂下の指を軽く舐めた。



やっとその気になったみたいで、私の顎に手をかけると顔を近づけてきた。



最初のキスは、軽く触れるだけ。



だけど坂下は唇を離すと、またすぐにキスをする。



何度も、何度もキスを交わした。



だんだん長く、深くなっていくキス…。



私は、坂下の首に腕を回した。



そうじゃないと、今みたいに坂下の腕が私の腰に回ってないと…、足元から崩れ落ちそうになる。



思っていた以上に、坂下のキスは熱くて激しかった。



「先生って、もしかして…キス魔?」



「誰彼構わずにキスをするような表現は、しないでください。

アンジェの、さくらんぼのような可愛い唇が私を誘うのですから…。」



坂下はそう言うと、また私の唇を奪った。



気付いたら、辺りは暗くなっていた。



「日が沈むトコ、見損ねちゃったね。」



「日は毎日昇っては沈んでいくのですから、生きていればまた見られます。

私にとっては、こうしてあなたと愛を交わすことの方が重要です。

次の電車まで間があります、ですからもう少しだけ…。」



坂下は、私限定のキス魔だ。



キスに酔いしれながら、そう思った。





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