Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
満月
アパートの部屋に入り、ドアを閉める。



次の瞬間、私はドアに押し付けられていた。



新婚さんみたいに『ご飯にする?それともお風呂?』なんて聞いてみたいな…って妄想してたけど、それどころじゃない。



いきなりキスするんだもん、ちょっとびっくりしちゃった。



唇が離れると



「申し訳ありません、外では…なかなか…。」



顔を赤らめて口ごもる坂下。



「ご…ご飯、作るね。」



キッチンに向かった私も、茹でダコみたいに真っ赤…なんだろうな。



料理しながら、坂下をチラ見する。



こういう時って、味見と称してイチャついたりするよね…って、さっきのキスを思い出しながら期待してた。



なのに坂下にその気配はなく、何か書いているようだった。



まさか、ウチに来てまで仕事?



構って欲しくて、キッチンに立ったまま尋ねた。



「何書いてるの?」



「遺言です。」



その言葉にすっかり動揺した私は、手にしていた包丁を落とした。



「アンジェ!」



坂下は立ち上がると、キッチンに駆け寄る。



「怪我は、ありませんかっ!?」



幸い、ケガすることはなかった。



私が頷くと、坂下は私を抱き寄せた。



「ごめん、ちょっと手が滑っちゃった…。」



私はそれだけ言うと、ご飯の支度を続けた。










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