Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
コエ
卒業式当日、クラス全員で式典をボイコットすると蒼に告げるつもりでいた。



でも、私はそれに賛成…とは言い難かった。



坂下は、ボイコットなんて望んでないと思うから…。



式典の前、三つ揃いのダークスーツに身を包んだ蒼が、クラス全員に造花をつけに教室に入る。



式典のクラス担任は礼服着用と決まっているので、坂下がいない今は、蒼が着るものだと思ってた。



だけど、蒼はクラス担任は坂下だという姿勢を崩さなかった。



いつもは教壇に立つ蒼の言葉なんか話半分にしか聞かないけど、今回ばかりは素直に聞けた。



蒼の奴は、式典にそぐわない喪章まで用意していた。



学校側に、ささやかな反抗?



ただボイコットするよりは、こっちの方が面白そうだ。



私は、蒼に賞賛の拍手を浴びせた。



クラスのみんなも蒼の気持ちを汲んだのか、ボイコットを口にした生徒はいなかった。



蒼が、全員に造花と喪章を着ける。



私の番になった。



今までちゃんと言えなかった言葉、今なら素直に…心から…言える。



「蒼、今まで面倒かけてばかりでゴメン。

それと、たくさん…ありがとう。」



蒼、なんて言うかな?



「痛ってぇ!!」



蒼が指を押さえて、顔を歪めた。



「いきなり変なこと言うな、手元が狂う。

安全ピン、グッサーって指に刺さったじゃないか。」



何それ?アンタがドジなだけでしょ?



「変なことって、ムカつく…。」



「悪い、遺言に聞こえた。

…死んだり、するなよな。」



蒼が、ぼそっと呟いた。



確かに、そう思ったこともあったけど…もうそんなコト考えないよ。







 
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