Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
署名
式典後のHR、蒼が教壇に立って挨拶する。



この3ヶ月で、蒼は教師として格段に成長したよな…って思う。



「坂下先生から、みんなに宛てた手紙を預かってる。

出席番号順に、数学科教材室まで取りに来るように。」



そう言うと蒼は、教室を出た。



蒼のもとに行って戻ってくる生徒の中には、坂下の遺品と思われるものを携えた人もいた。



私の順番が回ってきたので、数学科教材室に向かった。



渡されたのは、手紙だけ。



「和さんは、自分の彼女に何か遺そうって思わないの…?」



ぼそっと呟く。



「お前な…生前贈与受けておいて、そういうこと言うか?」



あ、そっか…。



私は、左手に輝く指輪を見た。



「遺したものは、物だけとは限らないよ。」



うん…そうだね。



私は、胸に手を当てた。



「浸ってるとこ悪いけどさ、次の生徒呼んで。」



「蒼、手紙ココで読んじゃダメ?

教室だと、落ち着かない。」



「んー…まだ待ってる生徒いるから、手短に頼む。」



「分かった。」



私は応接ソファーに腰掛けると、坂下の手紙を開封した。



手紙も嬉しかったけど…、同封されていた紙が何よりも嬉しかった。



私は、その紙をテーブルに広げる。



「蒼、ボールペン貸して。」



「良いけど、何に使うの?」



「名前、書くだけだよ。」



蒼からボールペンを受け取ると、私はサッと名前を書いた。



テーブルに広げた紙を見た蒼が、ニヤリと笑った。









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