Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
雲居
「和さん。」



私がそう呼びかけると、礼服を着たその人は卒業文集を読んでいた手を止め、座ったまま顔を上げた。



「アンジェ…随分と早く、ここへ来たのですね。」



「言っておくけど、後追って自殺したわけじゃないわよ。

事故っちゃったんだから、仕方ないでしょ?」



そう言うと、坂下は少しホッとしたような表情をした。



「それを聞いて、安心しました。

ウエディングドレス、とても良く似合っていますよ。」



「ありがと。

絶対にこれを着て、和さんのところに行こうって決めてたから、そう言って貰えると嬉しい。」



私はドレスのスカートを左手で摘むと、1回転してみせた。



坂下は目を細めて、眩しそうに私を見る。



「ところで、右手に持っているのは何ですか?」



「高校の卒業アルバム…と、和さんがくれた手紙。

婚姻届にサインしたんだから、ちゃんとお嫁さんにしてよ。」



私は、婚姻届を広げて見せた。



それを見た坂下が、ぽつりと呟いた。



「あの2人、結婚したのですね。」



あの2人?坂下の言葉を聞いて、私も婚姻届を見る。



証人欄には、蒼と梨香がサインをしていた。



「なかなか、アジな真似してくれるわね…。」



私は笑いながら、坂下の隣に腰掛けた。



「卒業アルバムは、アンジェが淹れたコーヒーを飲みながら、ゆっくり見ることにしましょう。」



「じゃ、早速コーヒー淹れるね。」



「待ってください、その前にすることがあります。」



「何?」



「見た目は、花嫁と花嫁の父にしか見えませんが…。」



坂下は苦笑すると、私の顔にかかっているベールを上げた。



「私、坂下和は…アンジェリーナ・フロックハートを妻にすることをここに誓います。」



そう言うと、顎に手をかけて唇を重ねた。



ホントにキス魔だな、坂下って…。



半ば呆れながらも、私は坂下の濃厚なキスを受け入れた。








 


Das Ende

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