Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
改姓
新学期早々、坂下のもとへ向かう。



苗字が変わるというのは、役所だけじゃなく、学校にも届出しないといけない。



面倒だけど、望んでいたことだしね…。



指導室で書類を書き、坂下がチェックする。



「イギリスに行かなくて、良かったのですか?」



「今更、どうしてもパパと暮らしたいとは思わないから。

私も…だけど、向こうの家族だって生活のリズムを崩したくないだろうし。」



嘘は、ついていない。



お互いに、沈黙する。



指導室は、筆記の音だけが響いた。



沈黙にたえられなくなった私は、口を開いた。



「先生は、私がイギリスに行けば良かったって思ってるよね?

いない方が、清々するもの…。」



「清々するとは、思っていません。」



坂下は書類から目を離し、言った。



「でも、私の気持ちは迷惑なだけでしょ?」



「好意を寄せられることを、迷惑だとは思っていません。」


書類を書き終え、坂下のチェックも済んだ。



指導室から出ようとした時



「アンジェリーナ・フロックハート。」



坂下が、私を呼んだ。



「まだ…何か?」



「念願が叶って、良かったですね。

以前よりも、良い名前です。」



坂下はそう言うと、私の頭を撫でた。



正直、心のどこかで坂下から逃げたい気持ちもあり、イギリス行きを迷ってた。



もう、迷わない。



私は、日本で高校を卒業することを決めた。










 
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