飴と道楽短編集
死亡原因【3P】



【死亡原因】






現場はごく一般的な一軒家のリビング。

第一発見者はその母親。

いつもの様に朝起床し一階に下りたところ、リビングに倒れている娘を発見。死亡しているのが確認された。

「状況は?」

警部は現場に登場するや否や端的に口を開いた。

「はい、被疑者は南条さなえさん十七歳。リビングにて付けっぱなしにされた電気とテレビ、そしてその前のソファで倒れていた所を見ると、恐らくテレビを見ている最中に亡くなったと思われます」

「うむ」

部下が手帳をめくりながら続ける。

「家の住人は被疑者の他に、父、母、兄の三人で、昨日は全員さなえさんより先に寝たという事ですが……」

「……という事は亡くなったのは深夜か」

「ええ。外部からの侵入形跡は無し。さなえさんが何かに抵抗した後もありません」

警部は報告を聞き終え、被疑者が横たわっていた痕跡の白いテープ線を見やった。

「そうか……まだ若いのに可哀相に。争った後が無いのならやはり身内か?……死因は?」

警部はまだ家の中で待機している被疑者の家族に聞こえぬ様、声を潜めて問い掛ける。

「死因は呼吸困難の様ですが……遺体の体内検査が終わるまで詳細は」

「そうか」


警部は辺りを見渡し、今は電源が切られているテレビを確認した。


「テレビを見ている最中に……呼吸困難?何かを飲んだのか……」

だがリビングに置かれたローテーブルには雑誌や昨日の夕刊、テレビのリモコンが無造作に置かれているだけであった。

「…昨日の深夜か。そういえばテレビドウキョウでやってるバラエティトーク番組があったな。私はあれが好きで……」

「……警部」

部下に窘められ警部は夕刊に伸ばしかけた手を止める。


「うーむ。分からんな。兎に角検査結果が出れば……」

「警部!結果が出ました!」

リビングに検査結果を持った捜査員がやってきた。


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