だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
目の前のパソコンに向かいながら、ゆっくりと考える。
きっと、言わなくていいことは世の中には沢山ある。
圭都のことも、只の恋人として紹介して一緒に暮らすことをママに伝えればいい。
もう私の恋愛について何か言われる歳でもない。
これからの事を考えて一緒に暮らしていくなら、お父さんもママも反対などしないだろう。
けれど、心のどこかで引っかかっている。
湊が言った『誰も不幸じゃない』という言葉。
圭都の出生は、もちろん公にすべきではないことくらいわかっている。
それでも、望まれて生まれてきた圭都に非はないのだ。
本当に愛する人との子供。
大切だからこそ生んでくれた圭都のお母さんの気持ちが、間違っているなんて思えなかった。
それが、ママをどれだけ傷つけるのか。
想像がつかないけれど、きっと信じられないほどの痛みがママを襲うのだろう。
それに、湊によく似た圭都を連れて行った時、ママが気付かない訳がない気がしていた。
湊によく似ているということは、同時に湊のパパによく似ている、ということだ。
その遺伝子を、ママが忘れるはずなんてない、と思っていた。