だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版

覚悟...カクゴ






仕事をしていると、あっという間に毎日が過ぎていく。

今日は土曜日。

引越しの日がやってきてしまった。


結局、ほとんどの物が上手く片付かなかったので昨日は徹夜になってしまった。

みんなが気を遣って早めに帰宅させてくれたことで、なんとか準備が出来た。



引越しは全て業者にお願いしたので、力仕事は特にない。

隠したいものだけをダンボールに詰め込んで、後はお任せするだけだ。




「さてと、こんなもんかな」




準備をしていると独り言が多くなる。


昨日は久しぶりに一人で家に帰ってきた。

圭都は泊まっていくと言ったけれど、それを断った。



まだ、部屋自体の契約期間は残っている。

それでも、一人暮らし最後の夜を自分だけで感じたかった。


少しだけ横になったベッドは冷たくて、もう一人でこの中にはいられないという感覚に襲われた。


ほんの少し前までは、当たり前に寝ていたベッドなのに。

今では、圭都のぬくもりを探す場所のようになっている。




まだ生活空間のままの部屋は、あと数時間で無機質な空間へと変化する。

久しぶりの感覚に、少しだけ胸が痛んだ。




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