【完】時を超えて、君に会いに行く。



そのあと彼方のリハビリも終わり、病室には私と彼方のふたりだけとなった。



「あ、そうだ彼方。なにか欲しいものない?明日買ってくるよ!」


他愛ない話を一通りしたあと、私は彼方にそう聞いてみた。


手ぶらっていうのもあれだし、せっかくならなにか買ってこようと思ったんだ。



「んー、なになら持ってきていいんだろ?りんごとか?彼方はりんご好き?」



お見舞いと言えば、りんごだよね。




「ねぇ未歩……」



突然、彼方は私の名前を呼んだ。



「ん?」



何にしようと考えていた私は、ゆっくりと顔をあげる。


そこには、少し困った表情をして私を見つめる彼方がいた。



「別に、毎日ここに来なくていいんだよ」


「……え?」


「ここに来たら、航と一緒帰れないだろ?それに帰りも遅くなるし……」



「それは、そうだけど……」

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