【完】時を超えて、君に会いに行く。


数学の授業が終わったあと。




「彼方のおかげで助かったよぉー!」



沙奈は彼方のもとへと飛び跳ねて行き、数学のテストができて、喜んでいるようだった。


そして私と航も、そこへと向かう。



「俺も彼方のおかげで、わりと解けた」



航も嬉しそうに、そんなことを言う。



「…………」



私だけが、この状況を認められずにいた。


でも、認めざるを得ない状況にいるのも事実だ。



「未歩どしたの?
浮かない顔してるけど……数学、あんまりできなかった?」



うつむいてる私に、心配そうな沙奈の声が耳に届いてハッとした。



「あ、全然大丈夫だよ!」




むしろ数学は満点かもしれないくらい。



私はもっと別のところで、悩んでる。

< 30 / 420 >

この作品をシェア

pagetop