嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「警察に行きます」
「…悪いな。そうしてもらえると、会社としても助かる」
「すみません。…最初の俺の判断が間違ってました」
「いや、お前は悪くない。今回のことは上に報告させて貰うけど、お前の立場は俺が保証する」
「…ありがとうございます」
俺以外の人間に手を出した以上、もう容赦は出来ない。
次の休みの日、俺は平泉さんと一緒に警察へ行き、被害届を提出した。
証拠も全て揃っていたせいか、あとはもうあっという間のことだった。
奈良橋が警察から接近禁止命令と警告を受けたと、担当の刑事から連絡が来たのはほんの数日後のことで。
もし破ってストーカー行為を繰り返した場合は実刑が下ることもあると言われた。
そうして全てやり終えた時には、えも言えぬ開放感があった。
もう、あいつに悩ませられることはないんだ。
…これで堂々と会いに行ける。
済んだ青い空を見上げながら、俺は漠然とそう思った。
あれから距離を置き、一人になって冷静に考えてみても、やっぱりエリカのことが必要で堪らなかった。
許されない過ちも犯したし、別れたいと、俺と一緒にいたくないとはっきり言われるかもしれない。
それでも…たとえエリカが嫌だと拒否しても、俺は決してあいつのそばを離れることなんて出来ない。
ようやく決心した俺は、新しい人生に向かって前を向き歩き始めていた。