溶ける温度 - Rebirth -

私にとっても真さんにとっても一石二鳥。
だから特に深い意味はまったくこめずにそう誘ったのだけれど、真さんは誰から見ても明らかに不機嫌そのものの表情を極めていた。

あれ…。時間は気にしないって言ったから誘ったのに、駄目だったのだろうか…。


「…明季、お前、その意味わかってる?」


不機嫌さを微塵も隠そうとしない真さんは、私の質問にさらに疑問で返してきて。
全く何を指しているのか分からない私はさらに首をかしげるはめになる。


そして、この険悪な雰囲気の中で。
タイミング悪く、唯一とも言っていい場を和ませてくれていた車内の洋楽が終わってしまった。

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