隣の悪魔はご機嫌ナナメ



「戻ってきたかった?」



「俺は、どうしてもこの街を去らなきゃいけなかったんだ」



「え……?」



どうしても?あたしや他の友達、誰にも別れを告げることなく去ってしまうような。



そんな理由があったの?



黙っていると、青久はゆっくりと重たい口を開いてあたしに話をしてくれた。



「両親のクリニックの経営が、うまくいかなくなって。融資を受けたんだ」



ーーーーえ?



「融資?どこから?」



「……他の街の、大きな病院からだ」



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