リミットボイス
「鈴原君!?」

「お前も来い」

鈴原水樹は私の腕をつかみ、外に飛び出した。辺りは真っ暗になっていて、部活動をしていた生徒も何事かとざわざわしている。

「見ろ」

鈴原水樹が顎をしゃくった。視線を移すと、真っ黒なトーンに包まれた生徒が立っていた。ブラックホールに飲み込まれているみたいだ。

「何これ...」

「...人間のトーンって変化しやすいんだ」

鈴原水樹が言った。私は鈴原水樹を見た。

「風邪を引くと、声が変わるだろ?それと同じ。あいつのトーンは今、悪いものになってる」

「どうして...」

「予測だけど...多分ストレスだな」
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