それでも私は恋をする
その日の夕方。
十和田さんが営業から帰ってきた。



「お疲れ様」



十和田さんは、またイチゴミルクキャンディを、私のテーブルに置いた。


「私、イチゴミルク好きなんですよ!!ありがとうございます」



笑顔で言うと、十和田さんから笑顔が返ってきた。



「うん、知ってる」



…と。
私の好みをわかってくれているということは…。期待、してもいいの?



「十和田さん、今日、食事に行きませんか?」



思い切って食事に誘ってみた。



「ごめん!今日は、お得意様と飲みに行く約束をしていて…。またオレから誘うね」



「いいえ!こちらこそ、急に誘ってすみませんでしたっ」



「気にしないで!またね素子ちゃん」



十和田さんは、そう言って私の元から離れた。



『素子ちゃん』って、呼んだやんな?今…。



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