桜唄


好きって、こういうのじゃない。

好かれるのは心地いいかもしれない。

安心するかもしれない。

幸せなのかもしれない。


でもちがう。

ちがうこんなの。


どうすればいい?



「……希衣、顔真っ青だけど」


「……え?」


翠に言われて、はっとした。


「具合悪いの?保健室いくか?」

「えっ…あ、そ、そんなんじゃなくて……その…」


ああ、もう、やだ。


やだ。

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