桜唄


「翠にもらったの…」

「クリスマスプレゼント?いいね~」


やばい。

今あたしどんな顔してるんだろう。


こんなの、ちっとも嬉しそうに見えてないんだろうな。


あれだけ時間をかけて、律から気持ちをはなすって決めて。

ふつつに会話も出来るまでになったのに。


まだ、こうやってどうしたらいいか分からなくなる時がある。


目線をあげた。



パッ。


………やっと、青になった信号。



「あっ…それじゃあ、またね二人とも」

「ばいばーい」



逃げるように。


横断歩道の向こう側に行った。



律をみると、心が壊れそうだ。

昔の記憶が封印してもしても、どんとんよみがえってくる。


…やっぱり、だめだ。

律と別の高校に。

どうしても行かなきゃ。





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