パパは幼なじみ
男子と2人きりで帰るのは、拓人以外初めてだった。成り行きとはいえ、不良もどきくんにはカップルだと思われているわけで…なんか緊張する。

「大丈夫だよ。」

その声に驚いた。拓人に…似てる…。
あれ?同じこと思ったことがある。
そういえば徹くんって、背が高いな。ひょろっとしてて、気絶させられるくらい弱いけど。

「緊張しなくていいよ。変なところに連れて行くわけじゃないからさ。」
「えーと、うーん…あっ!!」
「ど、どうしたの?」
「図書室の前で会った人!!」

どうりで朝会った人は私の名前を知っていたわけだ。同じクラスだったなんて。知らなかった上に今まで気づかなかった私って…

徹くんはフフっと笑った。そのはにかんだような笑い方も、どことなく拓人に似ている。

「やっと気づいてくれた。僕、あんまり存在感ないもんなぁ。」
「えと、ごめん。私、男子に興味もったことがなくて…」
「あはは、そっか。僕はずっと前から知ってたよ、有坂さんのこと。」

その言葉にドキッとする。同じクラスなんだし、幼なじみだという“ありさ”とも私は仲がいい。だから知っていて当然。深い意味はないはず。

顔が赤いのは夕日のせいだよね?

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