パパは幼なじみ
「ただいまぁ~」

激しくを通り越して疲れた。
冷蔵庫は空に近く、最寄りのスーパーまで自転車を走らせた。しばらく来なくて済むようにとたくさん買ったら、自転車カゴに入りきらず…

「行くときは考えなかったけど、帰りは上り坂になるんだよなぁ…」

これから夕食作りなんて…世の中の主婦はすごいなぁ。


「真奈っ!!今までどこにい…どうした?その荷物…」
「テーブルの上のメモと私のメール、見てないの?」
「メール?…あっ」

帰ってきたばかりなのか、スーツ姿のままで慌てた様子の拓人が玄関に駆けてきていた。
買い物にでてるから、と、心配させないために送ったメールも見てなきゃ意味がない。

「買い物…してきたのか?」
「うん。今日からママいないこと忘れてた。私、夕食係みたいだから。」
「遠かっただろ?スーパー。こんな時間に1人で出なくても…」
「こんな時間って7時半前だよ?大丈夫、もう子供じゃないんだから!」

昨日のように8時を過ぎて暗くなってるならまだしも、拓人は心配しすぎだ。ママよりも心配性で…

「俺は真奈を守るって決めてるから。だから俺のいないところで真奈に何かあったらって考えると怖いんだよ。」

拓人の声が少し震えている。

「だから、あんまり俺を心配させないで」
「男の子と2人きりも…心配?」
「え?」
「おととい、すごく怒られたから。1人じゃないって、男と一緒だったのか…って」


拓人が一瞬、強張ったように見えた。


「心配に決まってるだろ。何かあった時、そいつが俺みたいに強いかわかんねぇし」
「早紀と一緒なら安心なわけ?」
「さ、早紀ちゃんは強いからな…」
「ふーん」

本当にそれだけ?気になるその質問はあえてしなかった。
< 75 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop