まだあなたが好きみたい



もう頭に来た。



菜々子は思い切って、やつの脛目がけて蹴りを入れた。しかし読まれたようにさっと脚を上げて避けられる。




その弾みで菜々子はしたたか足裏を車体にうちつけた。



痛くはないが、驚いた人々の注目を集めたことは、それに負けずとも劣らずのショックだった。




わななく菜々子に、窓から外を眺める窪川が小ばかにしたように笑った。




刹那、ぶわっと血が沸いた。







このやろう……!







やがて電車が駅に着くと、窪川はドアが完全に開く前に、自らもこじ開けるようにしてホームに降り立ち、菜々子にはつんのめるようなスピードで改札口を出た。







「なんなのもう。離してって言ってるでしょ。大声出すわよ。一言の説明もなしに人をこんなに連れまわして許されると思わないで。だいたい、わたしを誰だと思ってるの。こんなことしてただじゃすまさ――」




「うっせぇなあ、ぎゃーぎゃーぴーぴーと。おまえは壊れた機械か」




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