桜の木の下で-約束編ー

11.風の声 -和鬼-







和鬼、私は此処に居る。



和鬼 迎えに来て
     ……助けて。






私が壊れる前に。









何度も何度もボクの心に
流れ込んでくる咲の切なる想い。







咲が呼んでる……。


咲の母親に、ボクの名を告げて
鏡を伝い、神木の回廊へと渡る。



その道すがら、
顕現する三体の神々しい光。




『桜鬼よ……汝の未来は少ない。
 汝の望みし、審判の時は近い』



光の中から、言葉を放つのは
ボクを何度も助けてくれた蒼龍。



龍の位を抱く神。



その神の想いは、神に名を連ねる末端にまで
優しさ・強さ・慈しみが染みわたっていく。


普段、簡単にその姿を見ることの叶わぬ
その神たちがボクの前に姿を見せた。

それはボク自身の浄化の時間が
近づいていくことも自覚させてくれた。





『蒼龍、炎龍、雷龍。
 その御心に感謝します』



神々しい光に向かって、
ボクは膝を折って頭を垂れる。




神が教えてくれたボクの終焉【おわり】。



ボクがボクで居られる残りの時間。
それはボク自身が知りたかったこと。



『桜鬼よ……私の愛子よ。
 汝【なれ】に、我が守護を授けよう。
 汝の命が尽きるその日まで』

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