桜の木の下で-約束編ー

12.闇にさす光 -咲- 






何処?



気が付いた場所は、
見知らぬ場所。




ただ暗闇だけが広がり続ける
闇の世界。




真っ黒に覆われた分厚い霧は
視界を遮り、瞳に何を映すこともしてくれない。




暗闇の中、私の両手足には
重い枷のようなものが
つけられている感覚だけが残っていた。





(殺せ。

 私の為に殺せ)



心の中に直接流れ込んで来るように
寄り添い続ける言葉。





その声が届くままに
動き続ける私自身の体。




目の前の存在に、
言われるがままに短刀を抜いて
斬りつけていく私。




その存在を守るように、
桜の花弁がターゲットを包み込んでいく。







桜の花弁が一つ。






私の髪に舞い降りた時、
ふと脳裏に思い浮かんだのは御神木。








御神木の桜?

ぼやーっと浮かんだだけのビジョンは
強いイメージとなって、私の意識を包み込んでいく。





< 249 / 299 >

この作品をシェア

pagetop