おくすりのじかん
見えてきた背景
正也のパパが亡くなったのはそれから一週間後だった。
正也は泣崩れるママの横で
それはそれは頼もしい姿だった。


私はこんなに泣いたのは人生で初めてのことだった。


全てが終わって 小さな箱に入れられた
正也パパが家に戻ってきた。


「いろいろとありがとうね」

正也ママが私たちに頭をさげた。


「何言ってんの。これからも私たちは一緒だからね」


「ありがと……本当にありがとう……」


三人の話にまた涙が溢れる。


「サンキューな祥子」


「何もだよ、正也も何か困ったことあったら
うちの親とかだっているんだから
何でも言ってよ」


「そうするよ
今はさ何か 気が張ってるって言うか・・・・・
多分かあさんも俺もこれからきっと 悲しみが押し寄せる感じ」


思わず正也の広い背中をポンポンと叩いた。


「うちら家族だからね」


「うん……」
正也の声が震えて また泣きそうになった。
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