~D*A doll~







次の日____。






リリリリリリリリリリリリリリ…。







ん…。







目覚ましの音で目が覚める。





……頭痛い。






「今、何時ぃー?」





枕元に置かれてある時計を眺める。






[10:15]





…じゅうじ、じゅうごふん。





…………。





10時15分。





……最悪。





寝坊しちゃったじゃん。





学校にはもちろん遅刻。





まぁ別に焦ることでも何でもないか。





のそっととベッドから起き上がり、部屋から出てて階段を降りる。





何の音もしない。





ただ、あたしの足音が響くだけ。





……そう、あたしは一人暮らし。





物心がついた小さなころからずーっと1人。





母はあたしを産んだため亡くなったらしいけど、父は普通に生きている。





んまぁ、あんな奴は父親でもなんともない。





あいつは……大きな会社の社長さん。





誰でも知っているような大規模の。





あたしの母は、あいつの愛人だったらしい。





もちろん父親に本妻はいる。





そして本妻との間にも女の子がいる。





まだその子が女ってだけましだ。





母が男の子を産んで、あいつの会社の跡取りにしようとしていたらしいが…。






あいにく、あたしも女だ。





母親が自分の命と交換に生まれた子があたし。





でも、男なんかじゃなかった。






所詮、あたしはそんな存在。






愛人の子。





いらない子。





隠し子。





母親を殺した子。






小さいころからずっと一人だった。





中学生の頃、母の話をあいつから聞いた気がする。





“俺は愛していけない人を愛してしまった…。そしてその代償として莉々香が生まれた”って。





代償、って何だよ。






それでずっとあたしが一人ぼっちだった理由がやっと分かった。






母親がいない理由が分かった。





父親があたしに近づかない理由が分かった。





…その頃だったかな?






あたしはただの話し相手だった男から、温もりを求めるようになったのは。





それで実の父親である…あいつには先週、電話で転校の事を報告しただけ。





……留守電でだけど。





最後に会ったのっていつだろう?





顔なんてもうメディアで見なかったら忘れているかもしれない。





まぁどうでも良い存在だから本当にどうでも良い。




前まではあいつが雇ってくれていたお手伝いさんが家事をしてくれていたし。





最近はあたしが家事をするようになったのでお手伝いさんは用済みだけど。




って、家事って言っても特にしてない。




ご飯はコンビニで食べて、服を洗濯機に入れて乾燥機にかけて終わり。




これじゃ、家事って言わないかな?




掃除は定期的に専門の人が来てくれているのでする必要はナシ。




…まぁ、お金を大量にくれるからいるだけましか。





父親なんて。









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