エスポワールの花束
「藍沢さんのことが好きです」



よかったら付き合ってください。







耳たぶをほんのりと朱に染めながらも、しっかりと私の目をみている男の子。






名前も知らない人だけれど、ウチの学校指定の赤色ネクタイを着けているところからして同じ学年の人なんだろうな、なんて考えていた。









「ダメです。良くない。さようなら。」







なんの三段論法だ、とツッコミたくなる発言が私の真後ろから聞こえてきたかと思った刹那、ぎゅーっと抱き締められた。








慣れたその腕の感触からしてきっとアイツだと私は悟った。ううん、絶対。確実にアイツだ。








「えっ!?藍沢くん!?」





目の前にいる彼は、いきなりの第三者介入に驚きを隠せないようだ。








「俺の可愛い妹に手出さないでよ、ヨシイくん」







ほら、やっぱりアイツだった。








自他ともに認める超絶シスコンの兄・柚希はいつも私への告白現場に現れては私より早く返事をノーで返す。







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