桜田くんの第一ボタン




あと、わたしから話しかけると必ず少しだけ、彼はあの桜みたいに優しい瞳になるの。

それで「どうした?」って……。



嬉しくてたまらないのに、彼の格好よさから直視できなくて、いつもすぐ目を逸らしちゃう。

次の瞬間にはまたいつもと同じ鋭い瞳になってしまっていてさみしいんだ。



それでもわたしの話は最後まで聞いてくれる。

わたしは終始どもりっぱなしなのに。



「ね、優しいでしょ?」

「うん、やっぱり咲良は告るべきだと思った」

「なんでそこまで話が戻っちゃってるの……」



はぁ、とため息を吐く。



告白。

なんて緊張する言葉なんだろう。

そしてとても現実味がない。






< 19 / 44 >

この作品をシェア

pagetop