君へ-実話をもとにした恋物語-
「はい。みなさぁん。具合悪い人はいませんかぁ?」

先生はそういうと、ずれていた眼鏡の位置を正常な位置にもどし、こほんと咳払いした。

「なー。消しゴム!!かせ!!」

え?

「いーからっ」


「ちょ!」

そう言ってきたのはわたしの後ろの席の、厚児。

お母さんが美容師ということもあって髪は襟足まで長くて男子のくせにまつげがかなり長い。

これがあいつの第一印象。

そしてこれがあいつとの始まり。


「いーけどさ!!ちゃんと返してね!!これママにかってもらったやつなんだから!!」

「うぃーっす!」


このとき私はふと思ったのだ。







よく笑う人だなぁ…と。

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