可愛いキミの美味しい召し上がり方



玲央くんが声を張り上げた。…かと思えば、



「……もう、やめて?」



次に聞こえてきたのは、泣き出しそうなか細い声。


目を開けてみれば、涙を浮かべながら懇願するように私を見つめる瞳があって…。

まぁ可愛い…じゃなくて。


「玲央…くん?」


まるで、イタイケなウサギのようだ。心なしか、震えてる…?


「あの…玲央くん、私…」


唇をぎゅっと噛み締めながら、必死に涙をこらえる玲央くん。

それを見たら、なんだか急に罪悪感というものが沸き上がってきて…


「ごめんね?ちょっと調子に乗りすぎたって言うか…「……いよ」

「え?」


私の言葉を遮って、玲央くんが絞りだすように声を吐き出した。


「…マコちゃん、ひどいよっ!」


そして、次の瞬間、部屋に響き渡った本気の怒り声。

玲央くんがこんなふうに怒るなんて…。もしかしたら初めてかもしれない。



「マコちゃんなんてだいっきらいだ!」


きっ、と。涙目で私を睨んでから、


「え?ちょっ…玲央くん?」


勢い良く立ち上がって私に背を向けて。

そのまま、玲央くんは部屋を飛び出して行った。



「……どうしよう?」



残された私は、呆然とするしかなかった――







……って、待って。


ここ、玲央くんの部屋なんだけど…?

出て行っちゃったよ。




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